クリスマス

 

 クリスマスは、イエス・キリストの誕生をお祝いする日です。


  以前、「『教会でもクリスマスをするんですか?』と尋ねられて驚いた」という話を聞いたことがあります。実際、クリスマスをサンタクロースの誕生日だと思っている人も少なくないそうです。ガッツ石松さんは何故か、七面鳥の誕生日だと思われていたそうですが・・・。
 クリスマスは、英語で CHRISTMAS と書きますが、これを X’MAS と書くこともこともあります。数学の代数で未知数を表わすのに X を用いるところから、クリスマスが何のお祝い、何の祭か分からない、ということを表わしているのではありません。ギリシャ語で、キリストの頭文字が X なのです(Xristos:クリストス 因みにギリシャ語では X をキーと読みます)。つまり、クリスマスとは、CHRIST「キリスト」 の MAS「祭」 ということです。

 クリスマスは12月25日とされていますが、聖書を調べてみても、イエス・キリストの誕生日ははっきりしません。ルカ2章の、「羊飼いが野宿しながら羊の番をしていた」、という記述から、夏の間の出来事であると考える人もあります。2世紀頃は5月に祝っていたという話もあります。12月25日になったのは5世紀頃で、キリストは暗い闇の世を照らす命の光としてこられたので、冬至を過ぎ、昼間の時間が長くなり始めるこの時期を、クリスマスとしたということです。キリスト教会では、クリスマスは、キリストの「誕生日」というよりも、キリストの誕生を喜び祝う日、イエス・キリストを自分の救い主としてお迎えし、喜ぶ日として、大切に守っています。

 誕生日が不明であるように、誕生年も実ははっきりしておりません。西暦の紀元は、キリストの誕生を起点として計算されたものです。これは、6世紀のローマの神学者ディオニュシウス・エクシグウスという学者が、聖書の記述や歴史を検討して算出したのだそうです。ただ、算出方法の詳細は明らかにされていないようです。しかも、その時に多少の誤りがあり、キリストの誕生年は紀元前4~6年らしいとも言われます。
 キリスト誕生年の正確さはともかくとして、暦の世界標準が出来たことは、世界の歴史を学び、お互いを理解するのにどれほど役に立っているか分かりません。西暦は太陽の運行で年月をはかる太陽暦ですが、パレスチナを始め東洋の多くの国は、月の運行で年月を決定する太陰暦を採用していました。それとは別に、日本の元号のような、国王の即位を起点とする暦の繰り方をする国もありますが、現在、世界の多くの国で西暦が用いられています。
 西暦で、キリスト誕生以前を紀元前(Before Christ:BC)、誕生後を紀元後(Anno Domini:AD)と言います。紀元前「BC」が英語でキリスト以前という意味の頭文字ですから、紀元後は「AC」キリスト以後となってもよさそうですが、キリストは今も生きておられて、キリスト以後はないという考えから、ADはラテン語で、「主の年」、キリストが誕生されてからの年を表わしています。あえて英語で言えば「WC(With Christ)」でしょうか。でもWCでは色々誤解されるでしょうね。しかし、こうして文字を見ていると、キリストがすべてのものを愛で包むお方であるように、「A」と「D」は、「B・C」をはさんで包む文字なので採用されたのではないかなあと、改めて思いました。もっとも、BC、ADという言い方は、英語圏だけで通用しているそうですが。

 ユダヤでは、生後8日目に神との契約を結ぶ割礼を行い、名付けをします(創世記17章12節、レビ記12章3節、ルカ1章59節、2章21節)。イエス・キリストも生後8日目に割礼を受け、天使の御告げの通り名づけられました。クリスマスが12月25日であれば、8日目は1月1日元旦になります。このことに気がついた時から、神の子キリストが「イエス」という名前で呼ばれ始めてから今年で「201?年目」という数え方をするというのも、大変意義深いことではないか、これは、歴史を司る神が、全世界でクリスマスを祝い、年の初めから主イエスの御名を呼ぶように定めて下さったことではないか、と思えてきました。
 主の御名を呼ぶ者は、みな救われます。アーメン!

 

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